It looks like you are using an older version of Internet Explorer which is not supported. We advise that you update your browser to the latest version of Microsoft Edge, or consider using other browsers such as Chrome, Firefox or Safari.

病気・症状のこと

Q. 最近、以前よりも症状が「進行」しているように感じるのですが、私はどうすればよいでしょうか?

A.  心配な症状がある時は、1人で抱え込まずに、主治医に相談してください。
進行の指標としてわかりやすいのは、「歩行障害」です。
「隠れた進行」に早く気付けるよう、自宅から駅までの具体的な歩行時間などを、定期的に記録しておくことも有用です。

多発性硬化症(MS)の「進行」とは、再発がなくても症状が1年以上にわたってじわじわと変化している状態を指します1)。しかし、「どの症状が」「どの程度変化したら」進行なのかなど、はっきりした基準は今のところまだありません1)

「進行」の定義は、まだまだ専門家の間でも意見が分かれているほどですので、今、患者さんに出現している症状が一時的なものなのか、再発なのか、はたまた進行なのかを、患者さんご自身が判断することは非常に難しいかと思います。あれこれと思い悩み、不安な気持ちを1人で抱え込まずに、まずは主治医に相談してください。
相談される際は、主治医が適切に判断できるよう、「どの症状が」「いつから」「どの程度変化したか」など、なるべく具体的に伝えましょう。気付いたことはその都度メモしておくとよいと思います。

歩行時間を定期的に記録して、主治医に伝える

進行の指標としてわかりやすいのは、「歩行障害」です。私は診察の際に、「駅から病院まで徒歩で何分かかりましたか?」「いつもよりも疲れていませんか?」などとお聴きし、前回の診察時と比べて時間がかかっていないか、疲れやすくなっていないかなどを、過去のカルテと照合しながら確認しています。
ご自身でも普段の生活の中で、例えば「自宅から駅まで」「駅から会社まで」「自宅から近くのスーパーまで」徒歩で何分かかったかを記録しておくと、ご自身の「隠れた進行」に気付きやすく、医師にとっても重要な情報になります。
また、歩行時にふらつきがあると、バランスが崩れるのを防ぐために歩幅が広くなるので、「歩幅」の変化も進行を疑う要素の1つとなります。

他にも、「頻尿」「残尿感」「尿が出にくい」「トイレに間に合わない」などの排尿障害や性機能障害の変化も、進行の指標となる可能性があります。これらは主治医に伝えにくい症状ではありますが、もし症状の変化に気付いたら主治医に伝えてみましょう。「進行」を判断する一助となる可能性があります。

主治医が「進行している」と判断した場合は、治療の変更を提案されるかもしれません。是非、主治医とよく話し合ってみてください。
 

06

1) 日本神経学会 監修 『多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017』 医学書院 p114、116 2017年


【回答】慶應義塾大学 医学部 神経内科 教授 中原 仁 先生