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日常生活のこと

Q. 職場に病気のことを伝えるべきですか?
伝えるなら、誰に・何を・どのように伝えたらよいですか?

A. 伝えるべきかどうかは、病状や環境によって異なるため、一概にはいえません。
職場に伝える前に、伝えることの「メリット」と「デメリット」を整理してみてください。
もし伝える場合は、「病気だからできないこと」よりも、「病気があってもできること」を“ポジティブ”にアピールされるとよいと思います。

定期的な通院や再発した場合などに、仕事を早退したり休んだりせざるを得ないこともあるかと思いますので、基本的には、会社に病気のことを伝えたほうがよい場合が多いと思います。

ただし、多発性硬化症(MS)という病気だと伝えることで、ご本人が望まない異動や、昇進のチャンスを失うといった不利益を受ける可能性も否定できません。MSの診断がついてすぐに、ご自身も病気についてよくわかっていないような状態で慌てて伝えてしまうようなことは一旦避け、まずは、伝えることの「メリット」と「デメリット」をリストアップしてみましょう。職場に伝えるのは、じっくりと考えた上で、「伝えたほうがいい」と判断してからでも遅くはないと思います。

「伝える」場合は、会社側に知っておいてほしいことを、具体的かつポジティブに変換して伝える

「伝える」と決めた場合は、病名だけでなく、「MSとはどのような病気で、どのような症状であるか」「仕事への影響を配慮してほしいこと」などを具体的に伝えるとよいでしょう。例えば、「通院のため月1回休ませてほしい」「体温や気温が高くなると症状が悪くなりやすいので、夏は体調を壊しやすい」などです。あらかじめ、会社側に知っておいてほしいことをまとめたファイルを作っておくと、わかりやすく端的に説明できるのではないでしょうか。

また、病気のことを伝える際には、「休まなくてはならない」「この作業が難しい」など、「できないこと」だけではなく、「この作業はこういう工夫をすればできる」「これは難しいけど、こっちの業務はできる」などのように、”ポジティブ”に変換して伝えることを意識すると、職場の方の理解も得やすいかもしれません。

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近頃では、新型コロナウィルス感染症の影響もあり、リモートワークも定着しつつあります。 疲れやすく症状が悪化しやすい「夏」の間は在宅で、といった働き方を提案してみるのも、1つの方法かもしれません。 また、仕事に必要な資格やスキルを身に付けて、自分をアピールすることも大切なのではないかと思います。

また、ハローワークでは、障害者の専門運動窓口に「難病患者就職サポート」を配置して、難病患者さんの就職相談や在宅中に難病を発症した場合の雇用継続など、総合的な就労支援も行って行きます1)。 お困りの場合は、必要に応じてこのような社会資源の活用も検討されてはいかがでしょうか。

1) 厚生労働省 ホームページ 「難病患者の就労支援」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06e.html


【回答】九州大学大学院 医学研究院 神経内科学 教授 磯部 紀子 先生