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日常生活のこと

Q. 最近疲れやすく、家事が思うようにできないのですが、家族には「怠けている」と思われているようで、なかなか理解してもらえません

A.「疲労・倦怠感」は、外見からはわかりにくく、「怠けている」などと勘違いされ、周囲の人から理解されにくい症状の1つです。
疲労のつらさを、主治医に伝えてもらったり、webサイトや冊子を見てもらうなど、患者さん本人以外からの説明があると、理解を得られやすい場合もあります。

疲労や倦怠感は、多発性硬化症(MS)患者さんで最も多くみられる症状で、日常生活に支障を来し、生活の質(QOL:Quality of Life)を損なう重要な症状の1つでもあります1)。ひどく疲れやすいと感じていたとしても、一見、元気そうに見えてしまうことから、「怠けているのでは?」などと周囲の人から勘違いされやすく、悩んでいる患者さんもいらっしゃるかと思います。

もし、患者さんご本人が必死に話してもわかってもらえない場合は、ご家族やパートナーの方を病院の外来に連れて来て、主治医に説明してもらってはいかがでしょうか。専門医から、「疲労はMSでよくみられる症状の1つで、決してサボったり怠けたりしているわけではないのですよ」「少し根を詰めて作業すると、後でグッタリしてしまうこともあります」などと改めて説明されると伝わりやすく、怠けているわけではないことをわかってもらえる可能性があります。なお、病院の外来に連れて来るのが難しい場合は、患者会や製薬会社のwebサイト、患者さん向けの冊子などを見てもらって、病気に対する理解を深めてもらうのも1つの方法かと思います。

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疲労・倦怠感を防ぐために

疲労・倦怠感への対処法としては、疲れる前にこまめに休憩することが大切です。また、MSには、体温・気温が上昇すると症状が一時的に悪化する「ウートフ徴候」もありますから、アイスバッグや冷却シートを利用するなど、クーリングを意識しましょう。

毎日の家事に追われてゆっくり休む時間が取れない方もいらっしゃるかと思いますが、「常に完璧であることを目指さない」「ご家族と分担する」「可能なら家事代行サービスを頼む」などの方法も検討されてはいかがでしょうか。ご家族と話し合って、生活の中での優先順位を見直してみるのもよいかと思います。


1) 日本神経学会 監修 『多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017』 医学書院 p276 2017年

【回答】九州大学大学院 医学研究院 神経内科学 教授 磯部 紀子 先生