Q. タバコは止めたほうがいいですか?
A. 是非とも禁煙してください。
「喫煙」は、MSの発症だけでなく、“進行”のリスクを高めるとの報告もあります。
禁煙が難しい場合は、「禁煙外来」の受診をお勧めします。
多発性硬化症(MS)の発症に関与する重要な環境因子の1つに、「喫煙」が挙げられています1)。また、喫煙経験のある再発寛解型MS患者さんは、喫煙していない再発寛解型MS患者さんと比べて、二次性進行型MSに“進行”する人が多いとの報告もあります1)。このように、喫煙はMSの発症リスクを高めるだけでなく、症状が悪化するリスクも高めると考えられています1)ので、是非とも禁煙していただきたいと思います。
中には、「電子タバコにしました」とおっしゃる患者さんもいらっしゃるのですが、「電子タバコならMSの発症・悪化リスクが低い」といったデータは報告されていませんので、お勧めしておりません。また、「吸い過ぎなければよい」といったデータも報告されていませんので、喫煙本数を減らしたり、軽いタバコに変えたりしたからそれでよいともいえません。
禁煙が難しい場合は、「禁煙外来」の受診を検討されてはいかがでしょうか。主治医に相談すれば、禁煙外来を紹介してもらえると思います。

1) 日本神経学会 監修 『多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017』 医学書院 p42-43 2017年
【回答】九州大学大学院 医学研究院 神経内科学 教授 磯部 紀子 先生