Q. 旅行が好きなのですが、今後も国内旅行や海外旅行は可能ですか?
A. もちろん可能です。疲れを溜めず、無理のない範囲で旅行をお楽しみください。
なお、お薬の持ち運びなど、事前の確認・準備が大切です。
飛行機での移動や、留学など長期旅行の場合は、診断書や紹介状が必要になる場合もありますので、事前に主治医にご相談ください。
多発性硬化症(MS)であっても、旅行には特に制限はありません。無理のない範囲で、国内外を問わず、旅行を楽しんでいただけたらと思います。
ただし、いつも服用されているお薬の「持ち運び」には、ご注意ください。まず、服用しているお薬が「室温保存」でよいかどうかを確認し、「冷所保存」が必要であれば保冷バッグをご用意ください。その場合は、宿泊先で冷蔵庫が使えるかどうかも、事前に確認しておきましょう。
飛行機内へのお薬の持ち込みについて、覚えておいていただきたいこと
飛行機で移動される場合のお薬の「機内持ち込み」についてですが、機内で使用する分のみであれば、基本的にはお薬の機内持ち込みは認められています1)。
国際線では、液体物の機内持ち込みに制限がありますが、医薬品類は例外扱いとなっていますので、注射剤も、機内で使用する分のみであれば、機内持ち込みが可能です1)。なお、保安検査をスムーズに通過していただくために、診断書や処方箋、薬剤証明書などの携帯が望まれますので1)、事前に主治医に相談しましょう。ちなみに、機内で使用する以外の予備分のお薬については、スーツケースなどに入れて、手荷物として預けてください1)。
留学や帰省、長期の出張など、慣れない場所で生活される場合は、不安やストレスも大きいかと思います。再発してしまった時に急性期治療をお願いできる医療機関を事前に探しておくこともお勧めします。主治医に相談すれば、紹介状も書いてくれるでしょう。
事前にきちんと準備をしておくことで、不安を軽減できると思います。病状の変化にはくれぐれも気を付け、疲れを溜めず無理のない範囲で旅行をお楽しみください。

1) 成田国際空港株式会社 ホームページ 「医療機器・医療品」(https://www.narita-airport.jp/jp/security/faq/faq-05)
【回答】九州大学大学院 医学研究院 神経内科学 教授 磯部 紀子 先生