多発性硬化症(MS)の経過
多くの場合、最初は再発と寛解を繰り返しますが、次第に再発がない時にも、体の機能の障害が徐々に進行していきます
MSを発症した後、どのような経過をたどるかは人それぞれですが、多くの場合、症状が急に出たり(再発)、治まったり(寛解)を繰り返す「再発寛解型」(RRMS)の経過をたどります。
しかし、再発を繰り返していると、次第に再発がない時にも、体の機能の障害が徐々に進行していく「二次性進行型」(SPMS) の経過をたどるようになります。
MSの自然経過[イメージ図]
MSの自然経過[イメージ図]
[Giovannoni G et al:Mult Scler Relat Disord 9 Suppl 1:S5-S48, 2016より改変]
多発性硬化症(MS)の3つのタイプ[イメージ図]
MSは大きく、患者さんの多くを占める「再発寛解型」と、わが国では5%前後の1)「一次性進行型」に分けられます。特に「再発寛解型」は、時間の経過とともに、「二次性進行型」に移行する可能性があると考えられています。
再発寛解型(RRMS)
再発寛解型(RRMS)
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症状が出る「再発」と症状が治まる「寛解」を繰り返す、MSの代表的なタイプ。
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80~90%の方1)は、再発寛解型から発症。
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再発は、MS発症後数年間は多くみられ、時間が経つにつれて減少すると考えられている1)。
二次性進行型(SPMS)
二次性進行型(SPMS)
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初めは再発と寛解を繰り返すが(再発寛解型)、次第に再発がない時にも、体の機能の障害が徐々に進行していく。
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再発寛解型のMS患者さんの約半数が、MS発症後15~20年で二次性進行型に移行するといわれている1)。
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二次性進行型の発症平均年齢は38歳2)。
一次性進行型(PPMS)
一次性進行型(PPMS)
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MSを発症して初めのうちから、体の機能の障害が進行していく。再発は基本的にはみられない。
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一次性進行型でMSを発症するのは5%程度1)と、わが国では少ない。
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再発寛解型と比べて、男性の割合が高く、男女比はほぼ1:1であり、発症年齢も40歳と遅い1)。
1) 日本神経学会 監修 『多発性硬化症・視神経脊髄炎 診療ガイドライン2017』医学書院 p116-118 2017年
2) Bsteh G et al:PLoS One 11(7):e0158978, 2016
多発性硬化症(MS)を診断するための検査
3)日本神経学会 監修 『多発性硬化症・視神経脊髄炎 診療ガイドライン2017』医学書院 p101-102 2017年
4)深澤 俊行 編 『やさしい多発性硬化症の自己管理 改訂版』医薬ジャーナル社 p30-31 2017年
【総監修】
医療法人セレス さっぽろ神経内科病院 理事長
深澤 俊行 先生
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