どんな治療が行われるの?
患者さんの状態に合わせて、主に以下の3つの治療が行われます。
1. MSの再発や進行を抑えるための治療
MSの症状が治まっている寛解期に行われる治療です。寛解期は、症状が治まっていても、水面下ではミエリンの障害は続いているため、治療せず放っておくと、体の機能の障害が徐々に進行してしまいます。このため、「再発や進行を抑えるための治療」が非常に重要です。
この治療には、飲み薬(カプセル、錠剤)や注射剤、点滴剤を使います。どちらの薬剤がいいかは、患者さんの状態によって異なりますから、投与回数や剤形も含め、主治医の先生と相談しながら決めるとよいでしょう。

2. MSの症状を和らげるための治療
患者さんによっては、MSの症状が出ている再発期が終わって寛解期になっても、感覚の異常や痛み、脱力、うつなどの症状が、完全には治まらずに残ってしまう場合があります。このような症状を和らげるために、それぞれの症状に応じたお薬などを使います。
3. MSの症状が急に出ているときの治療
MSの症状が急に出ている再発期には、ミエリンで起こっている炎症をしずめ、症状を速やかに抑えることが大切です。
このため、ステロイド剤を点滴注射する「ステロイドパルス療法」が主に行われますが、それでも効果がみられない場合は、「血漿浄化療法」が行われることもあります。
【総監修】
医療法人セレス さっぽろ神経内科病院
院長 深澤 俊行 先生